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登記簿による地歴調査
1、地歴調査の必要性

土地の利用履歴、過去に建っていた建築物を調べて、汚染の可能性を調べます。過去に工場やガソリンスタンド等の建築物が建っていた場合、特に調査の必要性が出てきます。そして土壌汚染対策法が改正されました。法律や条例に基づく義務調査で、この地歴調査が必要なケースが増えています。

ここでいう『地歴調査』とは、土地利用履歴調査や資料等調査、フェーズ1等と呼ばれます。名称が相違しておりますが、調査内容は同一ものになります。調査内容としては、現在から土地台帳までの登記簿謄本や古い住宅地図、航空写真、役所資料・役所に対してのヒアリングや市販の資料などの書類や土地に関する情報から、調査対象地とその周りについて土地の利用履歴を調べて、現在から過去にどのように使用されていたか、どんな建築物があったのか、そしてどんな汚染物質について汚染の可能性があるのかを調べます。

ここで注意が必要なのが、過去に工場やガソリンスタンド等の建物が建っていた場合、汚染の可能性が高いということで、実際に汚染があるかどうかとは別問題になります。土壌を採取し、検査してみなければわかりません。実際土壌を採取し、検査するにはかなりの費用と時間がかかります。そういう意味でも、まず、書面により調査し、汚染の可能性を判断した上で、次の段階に進んでいくのが通常となっています。

弊社が行なう地歴調査として、登記簿による調査があります。法務局に備え付けの書面による調査になります。こちらは現在の登記簿から、CP化に伴う閉鎖謄本、移記閉鎖謄本、土地台帳と遡って取得し、土地の利用履歴を調査致します。そして滅失した建物についても、過去に遡って調査させて頂きます。土地の利用履歴は建物を調査しなければ意味がありません。必要があれば、該当の土地に合筆した土地、分筆していった土地の取得も可能です。分筆、合筆を取得することによって、その土地の全体像が見えてきます。

なお、実際に土を採取し、調査する必要性がある場合、弊社の協力会社がございます。一括でご依頼頂ければ、時間短縮・経費削減にになると思われます。その他、なんでもご相談下さい。

2、地歴調査の使用例

(1) 土壌汚染対策法や条例に基づく義務調査
土壌汚染対策法に基づく調査の際だけでなく、都道府県によっては、条例に基づく調査の際に、この地歴調査が義務付けられているところもあります。土壌汚染対策法の改正に伴う、3,000u以上の土地の改変の際にも、この地歴調査が必要とされるケースが増えています。条例や土壌汚染対策法での義務調査では、この地歴調査の結果、汚染のおそれがなければ調査終了となります。義務調査の場合には、指定調査機関が調査を実施しなければなりません。

(2) 土地の購入を検討するための資料して
土壌採取調査に比べて費用が少なくて済むため、土地の購入を検討する際の資料として使用します。まず、地歴調査で土地履歴を確認してからの購入を考えれば、リスク回避となり、結果的に低費用で行なうことが出来ます。ただし、地歴調査で把握できるのは、土壌汚染の可能性の有無のみです。実際、対象地に土壌汚染があるかどうかはの判断は実際対象地の表層の土壌を採取し、検査を行ってみなければ分かりません。

(3) 土壌汚染の可能性がある場合の調査計画
地歴調査を行うことで、「何の汚染の可能性があるのか」「どこが汚染の可能性が高いのか」を調べることができます。例えば広い土地の上にガソリンスタンドがあった場合、建物敷地については、土壌汚染の可能性が高いと言えますが、離れた場所では可能性は低いと考えられます。しかし、実際は先程述べたとおり、対象地に土壌汚染があるかどうかはの判断は実際対象地の表層の土壌を採取し、検査を行ってみなければ分かりません。しかし、ポイントを絞って、効果的な表層土壌調査、詳細調査の計画を立てることができます。

(4) 汚染の原因を特定
義務調査でははく、自主調査の場合、地歴調査を省いて土壌を採取する調査をするケースがあります。土壌を採取する調査で汚染が発覚した場合に、汚染原因を特定するために地歴調査を行います。

(5) 住民への説明材料
次の持ち主に対して、土地使用履歴を説明し、土地の安全性を伝えるために使用します。
また、周辺住民に現在・過去の敷地の境界を示し、汚染の範囲を的確に伝えるために使用します。特に、大規模な住民説明等で大きな力を発揮します。

3、地歴調査の調査内容
・敷地及び事業所の概要
・土地周辺の地質・地下水に係わる資料の検討
・土地利用の変遷調査(現在から過去の登記簿取得・滅失建物の調査)
・空中写真による調査(複数年代を調査します)
・現地周辺や土地の過去の利用状況を知る人への聞き取り調査
・現地踏査
4、土壌汚染とは
土壌汚染とは、特定有害物質が土壌に浸透して土壌や地下水が汚染された状態です。
・有害な物質の使用中に、有害物質がこぼれたり、有害物質を含む排水が漏れたりして土
 の中に入った
・有害な物質を含む廃棄物が土の中に埋められて、雨などによって周りの土に溶けだした
 などによって起こります。
5、土壌汚染の特徴
土壌汚染は土地に行ってみても分かりません。目に見えることがないものなのです。以前ガソリンスタンドが建っていた等汚染されていそうにみえても、調査・分析をしてみると汚染されていないこともあります。逆に、過去に何も建っていなかったにもかかわらず、汚染されている場合もあります。だから、土壌汚染調査をして正確な情報を得ることが重要になってきます。
6、土壌汚染はなくならない
一旦、有害物質が土に排出されると、消えてなくなことはありません。30年前に工場から土へ排出された有害物質は、30年経っても消えません。
公害が世の中ではじめて騒がれ、公害対策基本法が制定されたのが1970年。それ以降に、水質汚濁防止法や大気汚染法などが制定されました。つまり、それ以前は有害物質の使用に規制もありませんでした。
現在、工場等もなく更地であった場合で、有害物質使用の届出がない土地であっても、過去に有害物質を使用する可能性のある工場等が建っていた土地は、汚染の可能性があるということになってしまいます。土壌汚染のリスクを把握するためには、現在の土地利用だけでなく、過去の土地利用を調べることが重要になってきます。
7、土壌汚染対策法とは?

土壌汚染対策法は2002年5月に制定されました。(2003年2月15日施行、2010年4月1日改正)
この法律は、土壌汚染の状況を把握し、人の健康被害に対する防止・対策・措置を実施することによって、国民の健康を保護することを目的として策定されました。
つまり、この法律は、土壌汚染による国民への健康被害を防ぐためにつくられました。
この法律によって、有害物質を取り扱っていた工場を廃止する場合や、3,000u以上の土地の形質変更をする場合、工場跡地などで土壌汚染の恐れが高く、人への健康被害を及ぼす恐れのある場合には、土地の所有者が土壌汚染の状況を調査することが義務付けられています。

土壌汚染調査件数は、土壌汚染対策法が施行された年と比べると増加し、2008年に11,591件、2009年に8,858件、2010年には9,177件でした。2010年に行われた調査のうち、法律条例にもとづく義務調査は15%、のこりの85%が自主調査でした((社)土壌環境センター調べ)。